クルマと街は共存できない

2019.12.05 UPDATE クルマと街は共存できない

不動産と建築の仕事に就いて、つくづく思うのは「クルマは場所食い虫」だということ。


クルマ1台のスペースって思いのほか大きいんです。2台並列で駐車場を取るとしたら、平均で5.5m×5.5mくらい。これって、底地9.75坪の上に建ってる我が家の建坪よりも少し小さいくらいの面積。クルマを2台駐車する場所に1軒の家は建つんですよ。


クルマは、それだけのスペースを必要とするのに、普通車だと定員は5人。そして、ほとんどのクルマは1人で乗っていることが多く、ものすごく効率の悪い乗り物なんです。


↓それを具体的に分かりやすくしてくれているのが、こちらの記事
https://www.gizmodo.jp/2013/11/gif_10.html


40台のクルマが道路に埋まっていると渋滞していて活気があるように思えてしまうけれど、所詮40人しかいないので、路面電車の1両に全員が乗れてしまうということを教えてくれます。


毎日渋滞しているのを見ると、沢山の人がクルマで移動しているなぁ、と思ってしまうけれど、実は全然人がいないんですよ。そう考えると、クルマって非効率的な乗り物だなぁ、と思うんです。


だから、街中に人が少ないから駐車場が必要!なんて意見を見ると「何を考えてるねん!」と私は思う訳です。おまけに、街中のそれぞれのお店が、それぞれ駐車場を確保すると、お店の連続性も回遊性も無くなってしまい、郊外店舗と同じようになってしまいます。もはやそれは街ではありません。


まずは、クルマ社会と街は共存できない、ことを念頭に置いて、だからLRT(次世代型の路面電車)やBRT(バス高速輸送システム)の整備、ロードプライシング(中心部へ流入するクルマへの課金)などの方策で、クルマと街を分離していく必要があると思うんです。


路面電車の駅には、パークアンドライド(駅に設置する駐車場)を設置して、クルマ利用者も郊外の駐車場に車を置いて路面電車で通勤や買い物に出かけられるようにする、環境定期券や割引制度を充実させて、独立採算制にこだわるのでは無く、街からクルマを減らして中心部の活性化を狙うことを目的に、公共交通の整備をしていく必要があります。


日本でLRTの話になると、クルマを悪者にしてクルマ利用者から反感を買ったりと、話の進め方に失敗してきているような気がします。そもそも、クルマは非効率的な乗り物で、駐車場を整備したところで、そんなに街は活性化しない点がついたらいいのに、と最近やっと思ってきました。

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